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税理士試験 法人税法 第66回 予想をする前に

求められているのは税理士としての資質

「○○をやりたいのでサポートをお願いします」に応える力

 

法人税法 第65回の第一問で求められているもの

 

■1 国税庁の出題のポイント

問1から問3まで、いずれも法人税法における基本的な制度に関し、それぞれの法的整理の理解度を問うとともに、具体的事例への適用についての問いかけを行い法令等の適用を正確にできるかという能力を問うものである。

その中でも、

問1では、具体例として掲げた株主構成を読み解いて使用人兼務役員の判定を正確に行えるか、

問2では、非適格合併や事業譲渡等の受け手となる法人に求められる資産調整勘定及び負債調整勘定の処理について、資産調整勘定等の計上方法に加え、計上した資産調整勘定等の取崩要件や取崩方法等が理解できているか、問3では、ストックオプション制度を導入した場合の損金算入の対象となる役務提供の対価の測定方法や新株予約権が権利行使された場合の処理が理解できているかを問うこととした。

 

「新株予約権やりたいのでサポートをお願いします」

と言われて何と解答しますか?

何も回答できなければ、活用できないただの能書きに

 

株主や市場からクレームがこないように公平な価格をブラックショールで算出する。

それを公告と登記をする。

会計処理に指示をだす。

付与された方からクレームがでないように税制適格を満たす。

このレベルで使えるかを聞いていると思います。

「法的整理の理解度を問う」「法令等の適用を正確にできるかという能力を問う」

このことを真摯に受け止めていく必要があると思います。

 

昨年までは、事実認定を試験で問い続けました。

教育機関が追いつかないので、あきらめて、 一段落し、法人税の基本的な考え方を出題した問題です。

試験委員を教育機関から選抜したとするなら意見を聞き、歩み寄らないといけないと感じたからかもしれません。

 

基本的な考え方は、法人税が持たなければいけない下記3つです。

■利益操作排除

■未実現損益課税

■納税原資ができてからの課税

 

 

■利益操作排除

使用人兼務役員の使用人制限。利益操作で賞与を出すことを 制限。

 

■未実現損益課税

資産負債調整勘定

 

時価という曖昧なものに税法が真正面からぶつかって創り上げた規定です。

正ののれん負ののれんと言わなかったのは

退職給付引当金、短期重要債務の債務性を限定的でも認めた実務会からの要請でもあるのです。

 

 

■納税原資ができてからの課税

新株予約権

帰属の特例

経済的利益を与えた段階で課税することが世間の同意を得られないもの

しかも平成28年改正項目です。

 

第2条や意義は、適用要件は前から重視しています。

意義や適用要件だと分かれば

暗記する部分も限られます。

 

法的根拠の意味も教育機関は取り違えています。

 

暗記項目は、意義と適用要件に絞り、法的思考を持ってなければ、実務を任せられないという許認可側の強い意志も感じます。

 

事実認定をダイレクトに出題しないように見えても完全に消えているわけではありません。法律問題ゆえに法的三段論法をマスターしなければ試験の本質は全く見えません。

 

受講生は負荷ばかりかかりかけ大切な生きた知識を身につける機会の喪失がないように。

実務と試験は、財務省管轄の問題では完全にリンクしているということを認識してください。

 

問題は、過度期だと思います。教育機関との歩み寄りも見えますが、求める税理士像を想定して作成した芸術です。

中小企業対応の基本的なものもありますが、資産負債調整勘定、新株予約権は、大手企業を対応していないと実務経験はできないかもしれません。大手企業実務では、基本的な論点です。

中小実務のみの町の会計事務所などは、実務家ではなく計算屋と言われた気がします。

 

これからは

町の企業相手のみでは、税理士として独立していくのは、価格競争のなかで難しくなっていきます。

大手や大手関連に目をむけ対応できる力、しっかりと具体化でき活用できる力を身につける学習をしていってください。これが、今後の税理士像です。

秘訣は、「○○をやりたいのでサポートをお願いします」に応えられる生きた知識を身に付けていこうとする姿勢です。

住宅ローン控除について FMヨコハマ 教えて税理士さんより

■住宅ローン控除

https://itunes.apple.com/jp/podcast/fm-yokohama-jiaoete-shui-li/id448279044?mt=2

http://www.tochizei.or.jp/voice/index01.html

 

さて、今日の話題はどんなことでしょうか?

今回は、「住宅ローン控除」についてお話ししていきます。

ではまず、「住宅ローン控除」とは?と言う所から、お話しいただけますか?

2つの側面があります。

ひとつは、ローンを組んでまで取得しようとすることに対して支援をする。

もうひとつは、マイホ-ム取得を促進し、景気を刺激する。

平成13年に控除期間15年、控除額最大587万円が施行されたときは、住宅建設ラッシュになりマンションも売れ景気刺激策になりました。

ただ、消費税増税、雇用問題等で、既存の「住宅ローン控除」だけでは、中々景気刺激策にはならなくなってきました。

何か新しい景気刺激策は考えられているのでしょうか?

住宅の選択肢の幅を広げ、無理のない負担でライフスタイルに応じた住宅を確保出来るようには、中古住宅流通とリフォーム市場の拡大・活性化を図っていく必要があります。

住宅政策を反映させるために、現在施行されている「住宅ローン控除」には、中古のマイホームや増改築も組み込まれています。

時代に応じて「住宅ローン控除」の範囲も変わってくるのですね。

中古について少し補足していきます。マンション等耐火建築物は25年以内、木造等耐火建築物以外は20年以内に建築されたものであることなっています。この年数を超える中古の物件であっても「住宅ローン控除」が受けられものがあります。

それは、どんな場合でしょうか?

中古住宅のうち約1割強は、耐震基準に適合しない中古住宅が流通しています。既存住宅ストックの耐震化は差し迫った課題の一つとなっている。

新耐震基準に適合していることについて証明された物や、耐震基準に適合しない場合でも、買うときに耐震改修工事の申請をし、住む日までに耐震改修工事を終えていれば、「住宅ローン控除」を受けられます。

 

税制面でのバックアップで既存住宅の耐震化が進むと良いですね。そして、まさに今日から確定申告が始まっていますが、住宅ローン控除の部分について、注意点がありましたら、お願いします。

・確定申告書に添付する書類について補足します。

・マイホームなので住んでいることを証明する「住民票」

・購入日や購入金額を証明する「売買契約書」

・所有権があることを証明する「登記事項証明書」

・借入金があることを証明する「借入金の年末残高証明書」

・新耐震基準に適合することを証明する「耐震基準適合証明書」

「借入金の年末残高証明書」お金を借りれば、金融機関が用意してくれるのであまり心配してませんが、「耐震基準適合証明書」は、建築士に判断してもらい売主に申請してもらう必要があるので、漏れないようにしっかり意識しておく必要があります。

財産債務調書について FMヨコハマ 教えて税理士さんより

■財産債務調書

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さて、今日の話題はどんなことでしょうか?

今回は、今年の確定申告から提出が必要になる「財産債務調書」についてです。

今年から必要な書類なんですね?

今までは「財産及び債務の明細書」。これは年間所得金額が2千万円超の人が対象でした。これは、前回で廃止です。

「財産債務調書」は、所得2千万円超に加えて、3億円以上の財産か1億円以上の有価証券等を持つ方が対象です。

インセンティブとペナルティが用意されました。

インセンティブは、財産債務調書を提出した場合には、記載があるもので相続税等の申告漏れが生じたときのペナルティについて、5%軽減されます。

ペナルティは、記載がない財産に関する相続税等の申告漏れに係るペナルティについて、5%加重されます。

 

実際に始まってみて、大変だな~と感じる部分、どんな点でしょうか?

簡単に言えば、あなたが持っている財産と債務を書いて提出して下さいっていうもの。マンション、預金、株、車、家具・・・。各々に時価を付して完成させるのは、大変な作業です。今、僕の目の前にあるこのマイクの時価がいくらですかと問われて即答できる人はなかなかいないと思います。時価を把握するって簡単なことではないのです。

では何故、このような手間のかかる制度が始まったのでしょうか?

国税庁が、多国籍企業の国際的な租税回避および富裕層の国際的な租税回避への対処の重要性を感じているからです。

グーグルの海外利益にかかる実効税率が、2~3%だったころがあります。日本の法人の実効税率が30%を超えていることを考えると驚異的な数値です。

軽課税国に会社を作り、アイルランドとオランダ間の租税条約を活用し、複数の国をまたぐ取引により複雑だけど合法の節税策によって作りだされた租税回避です。この手法は、アマゾン、ファイスブックなど巨大ネット事業者もまねをし、新たな課税問題として欧州を中心に賑わったことがあります。

これを踏まえてOECD(経済協力開発機構)も多国籍企業の租税回避に対処する国際協調体制の提言を発表しました。

国際的な流れの一つなのすね?

富裕層への取り組みとして、昨年から「国外財産調書」の提出がはじまっていて海外財産については1年先行で対応が開始されていました。未提出者に対して、適正に提出を促しているようです。「国外財産調書」を作った以上、同様の事項の記載を要する「財産債務調書」を作り、国際的な租税回避への対応のみならず、所得税・相続税の申告の適正性の確保にもつながっています。

富裕層のコンプライアンス向上に向けた取り組みなのですね。

国税庁が「適正かつ公平な税務行政の推進」という使命を持って作った制度です。自分の財産をこの機会にしっかり把握するという気持ちを持って作成すべきものが「財産債務調書」です。生前に「相続税の申告書」を作るつもりでいて欲しいです。

医療費控除について FMヨコハマ 教えて税理士さんより

■医療費控除 https://itunes.apple.com/jp/podcast/fm-yokohama-jiaoete-shui-li/id448279044?mt=2 http://www.tochizei.or.jp/voice/index01.html   さて今日の話題はどんなことでしょうか? 今回は、「医療費控除の注意点」を題材としてお話をしていきたいと思っています。 この季節、定番テーマの一つですが、まずは、医療費控除とは?と言う所から、教えて頂けますか? 医療費控除とは、自分と家族の為に医療費を支払った場合には、実際に支払った医療費の合計額から10万円を引いた金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。 所得、いわゆる利益から差し引かれるものなので、税金をダイレクトに差し引く税額控除ではないことも知っておいてください。 対象となる基準や条件と言った物は、どうなっているでしょうか? 申告年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であることです。領収書を整理していて、昨年分のものがでてきても対象にすることはできません。先ほど10万円を引くと言いましたが、所得が200万円未満なら所得の5%の金額を引く形になります。 では、医療費控除の申請で間違えやすい点は? 判断が、必要ということで、医療費控除の対象になるかならないかについてお話をしていきます。 処方箋でなく、薬局で風邪の治療のために購入した風邪薬これは医療費控除の対象になります。 インフルエンザの予防接種の費用、人間ドック費用は、医療費控除の対象になりません。判断に迷ったときには「治療」なのか否かを考えるようにしています。 「予防」ではなく「治療」なのかで判断できるようになってください。 先ほど人間ドッグ費用はダメだと言いましたが、人間ドッグで重大な病気が発見されたなら、人間ドッグの費用も「治療」の一環となり対象となるのです。 治療はOK、予防はNGなんですね。 現在はNGですが、予防も健康で長生きをするためには、大切な概念です。 健康寿命が延伸する社会を実現するためには、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てするセルフメディケーションが必要です。 予防接種、健康診断、がん検診を受けたならば、この部分について所得控除を行う規定が来年から施行される予定です。 また、間違えやすい点として、医療費を補填する入院給付金等を支給された場合には、支払った医療費から引くことになります。入院給付金が実際に支払った医療費の額を超えたとしても他の医療費からは差し引く必要はありません。 入院費については、医療費も高額になり、保険や高額療養費で補填されるケースも多いので気を付けないとですよね? もう一点注意点があります。 保険金で補てんされる金額を、医療費控除から除かなければいけないなら、場合によっては、保険金で補てんされる金額は、医療費控除の対象にしない、ということも知っておいて下さい。 人身傷害補償保険に加入している場合には、実際に入院にかかった費用が全額補てんされます。この場合は、医療費の領収書は、所得控除である医療費控除に使わず、人身傷害補償保険の入院費補填に使うようにして下さい。 税金の知識だけではなく、加入している保険の知識も必要です。

マイナンバー制度 FMヨコハマ 教えて税理士さんにてお話しさせていただきました。

昨年末にマイナンバーが記載された「通知カード」が届けられましたね。

「通知カード」には、「個人番号カード交付申請書」がついています。この「個人番号カード交付申請書」に写真を貼り付けて返信します。ちなみに写真も本人とわかるようなものでないとだめです。フレームが太いメガネとかフレームが目にかかっているものは、本人確認にむかないものはだめです。後日、交付通知書が届き、交付場所に出向き、交付通知書、「通知カード」、本人確認書類をもって「個人番号カード」の交付を受けることになります。マイナンバー制度導入後は、就職、出産育児、年金受給、多くの場面で個人番号の提示が必要となります。その際、「通知カード」であれば、運転免許証や旅券等他の本人確認書類が必要となりますが、「個人番号カード」があれば、一枚で番号確認と本人確認が可能となります。

本人確認をしっかり行うということが「なりすまし」防止につながっているということですね。

「なりすまし」を避けるための本人確認の徹底だと思います。また、「個人番号カード」取得を促すことにもなると思います。「なりすまし」と同様に心配しなければいけないのが情報漏洩です。情報漏洩に関しては、過去の情報漏えい事件の反省からかなり厳しい罰則がもうけられています。企業は、情報がもれないように安全管理を徹底していく必要があるのですが、厳しい罰則を懸念し、マイナンバーを触りたくないといっている企業が多いのも事実です。

厳しい罰則が良いか悪いかは別として「情報漏えい」の抑制につながってほしいですね。

まさにその通りです。税の実務でいうと、固定資産税の申告、各種申請・届出では、すでにマイナンバーが必要になっているので、逮捕されないように安全管理措置を講じながら頑張っています。

 

マイナンバーは「税、社会保障、災害対策の3分野以外には使われない」となっていたと思いますが、「税」の部分ではすでに開始されていたのですね。ほかに「税」の面でお話しいただけるものはないですか?

 

個人番号は取扱いに細心の注意が必要ですが、法人番号は、国税庁のホームページで検索できる状態になっています。国税庁がしっかり絡んでいることを認識してほしい制度です。

また、税の面から見るとマイナンバーは、監視カメラ的な要素があると思います。税金的に悪いことをする上での抑止力があると思います。真面目にやっている人が得をする社会と真面目にやっている人が損をする社会とを比較した場合、マイナンバーが導入されれば、真面目にやっている人が得をする社会になるということが確実に予想されます。

 

不正がおこりにくい環境になっていく方が健全ですよね。

 

適切な競争の方が、健全だと思います。税の面でもうひとつ。税制は実は難しく書かれています。なぜ難しく書かれているかと言えば、簡単に書くと脱税を考える方が出てくるからだと思います。マイナンバー制度の導入で税制がシンプルになることが考えられます。実は、税理士資格がある国自体、実はそんなにないのです。税制が難しいから必要な職種だったのかもしれません。マイナンバー制度の普及の手伝いをする立場で、普及自体が税制簡素化は心配です。マイナンバー制度で時代は大きく変革します。新しくなるだろう税制を予知しながら企業を良くしていく力をさらにつけていかないといけないという自覚も強くなってきています。

 

マイナンバー制度に一番影響を受ける職種が税理士さんなのかもしれませんね。

 

大きな変革がきたと感じています。良い方向にいけるよう頑張らないといけないですね。

医療費控除の注意点2 FMヨコハマ 教えて税理士さんにて

さて今日の話題はどんなことでしょうか?

今回は、「医療費控除の注意点」を題材としてお話をしていきたいと思っています。

この季節、定番テーマの一つですが、まずは、医療費控除とは?と言う所から、教えて頂けますか?

医療費控除とは、自分と家族の為に医療費を支払った場合には、実際に支払った医療費の合計額から10万円を引いた金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

所得、いわゆる利益から差し引かれるものなので、税金をダイレクトに差し引く税額控除ではないことも知っておいてください。

対象となる基準や条件と言った物は、どうなっているでしょうか?

申告年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であることです。領収書を整理していて、昨年分のものがでてきても対象にすることはできません。

先ほど10万円を引くと言いましたが、所得が200万円未満なら所得の5%の金額を引く形になります。

では、医療費控除の申請で間違えやすい点は?

判断が、必要ということで、医療費控除の対象になるかならないかについてお話をしていきます。

処方箋でなく、薬局で風邪の治療のために購入した風邪薬これは医療費控除の対象になります。

インフルエンザの予防接種の費用、人間ドック費用は、医療費控除の対象になりません。判断に迷ったときには「治療」なのか否かを考えるようにしています。

「予防」ではなく「治療」なのかで判断できるようになってください。

先ほど人間ドッグ費用はダメだと言いましたが、人間ドッグで重大な病気が発見されたなら、人間ドッグの費用も「治療」の一環となり対象となるのです。

治療はOK、予防はNGなんですね

現在はNGですが、予防も健康で長生きをするためには、大切な概念です。

健康寿命が延伸する社会を実現するためには、自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てするセルフメディケーションが必要です。

予防接種、健康診断、がん検診を受けたならば、この部分について所得控除を行う規定が来年から施行される予定です。

また、間違えやすい点として、医療費を補填する入院給付金等を支給された場合には、支払った医療費から引くことになります。入院給付金が実際に支払った医療費の額を超えたとしても他の医療費からは差し引く必要はありません。

入院費については、医療費も高額になり、保険や高額療養費で補填されるケースも多いので気を付けないとですよね?

もう一点点注意点があります。

保険金で補てんされる金額を、医療費控除から除かなければいけないなら、場合によっては、保険金で補てんされる金額は、医療費控除の対象にしない、ということも知っておいて下さい。

人身傷害補償保険に加入している場合には、実際に入院にかかった費用が全額補てんされます。この場合は、医療費の領収書は、所得控除である医療費控除に使わず、人身傷害補償保険の入院費補填に使うようにして下さい。

税金の知識だけではなく、加入している保険の知識も必要です。

 

医療費控除の注意点 FMヨコハマ教えて税理士さん 2016年2月2日分より

今回は、「医療費控除の注意点」を題材としてお話をしていきたいと思っています。

 確定申告の話題ですね。

2月16日から確定申告書の提出期間が始まります。実は、税金が戻る還付申告は1月1日から出せるので、医療費控除を行う還付申告であるならもう提出することができます。会社の年末調整でできる生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除とは違い、判断が必要で、領収書の枚数も多くなるので年末調整での対象にはなっていません。

医療費控除が、年末調整の対象になってない理由がわかりました。しっかり確定申告でやらなければいけないということですね。

判断が、必要ということで、医療費控除の対象になるかならないかについてお話をしていきます。薬局で風の治療のために購入した風邪薬これは医療費控除の対象になります。

インフルエンザの予防接種の費用、肥満に悩んでいる方のダイエットのための低カロリー食品、育毛剤や発毛剤の購入費、人間ドック費用は、医療費控除の対象になりません。判断に迷ったときには「治療」なのか否かを考えるようにしています。予防や美容ではなく「治療」なのかで判断できるようになってください。

先ほど育毛剤や発毛剤の購入費用はダメだといましたが円形脱毛症の人が医師の処方受けて購入するフロジン液など治療目的になるならば対象になるのです。人間ドッグで重大な病気が発見されたなら人間ドッグの費用も「治療」の一環となり対象となるのです。

健康面を考えたら予防接種や健康診断も医療費控除の対象になってほしいですね。

国民の健康寿命が延伸する社会を実現するためには、私たちが自己健康管理を進めるセルフメディケーション必要です。この観点から予防接種、健康診断、がん検診を受けたならばこの部分について所得控除を行う規定が来年から施行される予定です。

医療とか介護の需要が増大していく今後の日本では必要になる法律ですね。

 次に医療費を補填する入院給付金等をもらったとなったら支払った医療費から引くことになります。入院給付金が実際に支払った医療費の額を超えたとしても他の病気の治療について差し引く必要はありません。

ここで、注意点ですが、医療費の領収書は、医療費控除ではない使い道もあるので注意してください。人身傷害補償保険に加入している場合には、実際に入院にかかった費用が全額補てんされる場合があります。入院にかかった10万円の領収証を医療費控除に使えば、税率5%の人ならば、5,000円還付されます。人身傷害補償保険の入院費に使えば、10万円全額が戻ってくるのです。医療費の領収書を医療費控除に使っていたなら、できないので注意が必要です。

医療費を補填する保険金の位置づけをしっかり考えないとだめですね。

医療費控除は、領収書があってはじめてできる規程なので、また家族分もあわせてできるので、きれいにまとめ集計しやすくして確認作業もやりやすくしてあっても医療費控除の書類に記載するのは、大変だと思います。マイナンバーを活用することで健康保険組合や国民健康保険から届く医療費通知によってマイナンバーの個人用サイト(マイナポータル)で確認できるようになります。市販の風薬や、保険がきかない自由診療は、今まで通り領収書の保存と提出が必要ですが、領収書がなくとも医療費控除が受けられる時代がもうすぐくる予定です。

FMヨコハマ 教えて税理士さんでマイナンバーについてお話しさせていただきました。

FMヨコハマ 教えて税理士さんでマイナンバーについてお話しさせていただきました。
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平成28年1月19日放送分
『マイナンバー制度導入で何が変わるか』について
マイナンバー普及のための懸念事項として、「なりすまし」と「情報漏洩」があげられます。解決手法として、徹底した本人確認と、厳しい罰則をもうけることにより対応することとなっています。マイナンバー制度が普及は、税制の面からみれば、監視カメラ的な効果により間違ったことを止める抑止力になります。その結果、不正なことをして得をするということが排除され、真面目にやることの価値がさらに出てくるはずです。これが、徹底されたとき、難解な我が国の税制が簡素化されたわかりやすい税制に大変化するときが来るかもしれません。

貸倒損失は認められない 別冊 教えて税理士さんより

FMヨコハマの「教えて税理士さん」を2016年1月から3月の期間担当することになりました。
本日は、別冊「教えて税理士さん」にてお話させていただいた「貸倒損失は認められない」について対話形式で進めていきたいと思います。
企業経営をしていくうえで発生させてはいけない「貸倒損失」を創業・起業の段階で、しっかり認識していることはとても大切なことです。
Web版でも聞いてもらえれば何よりです。
http://www.tochizei.or.jp/voice/index06.html
2015.09.30 1-貸倒損失は認められない!

登場人物は2人ですすめていきます。

Director  以下 D:
Koike 以下 K:

D:
今回はどんなお話しですか?
K:
今回は、貸倒損失についてお話していきます。
モノを売る時に、現金で販売していれば問題はないでしょうが、そうでないケースにおこる話です。商取引では、現金決済よりも、掛売の場合が多いのです。
D:
掛売ってなんですか?
K:
代金はあとで受け取ることを前提に商品を売ることです。
D:
商取引ではありそうですね。
K:
あとから代金の回収をする場合ですが、この代金の回収がおこなわれていれば、問題にはなりません。
ところが、この代金の回収ができなくなった場合に問題が生じます。いわゆる「貸倒れ」という事態が生じます。
商品を販売したときに、売上を計上した部分を取り消す処理。お金をもらえる権利をあきらめる処理をしたものが、貸倒損失となります。
ここで今回の一つ目のポイントです。
税務上ですが、貸倒損失として認められるケースは、限られた事由に限定されています。
乱暴な言い方をすれば、
税務上、貸倒損失は、認められていないのです。
D:
そうなのですか。代金回収ができなかったら、即、貸倒損失と考えてはいけないのですか?
K:
「代金回収ができなくなった」
この事実を客観性を持って決めるのは、難しいことなのですね。
税務上、貸倒損失が認められる場合を基本通達で規定しています。
この基本通達に決められたケースにあてはまれば、貸倒損失として処理することができます。
D:
一応、認められているのですね。
K:
はい、認められていますが、今日のお話しを聞く上では認めていないという前提で聞いてもらったほうが良いと思います。課税側は、安易に認めていないと思っているほうが実務的には正しいと思います。
D:
深い話になりそうな予感がしてきました。
K:
では、3つの通達を見ていきましょう。
1つ目は、会社更生法、民事再生法の適用があり、債権の切り捨てが生じた場合などが該当します。わかりやすく言えば、会社はこのままいくとつぶれます。裁判所等にお願いして会社を立ち直らせるために、話し合った結果、あなたに払う金額を半分にしてくれたら立ち直れるので債権を半分に法的に減らす手続きを取りました。といわれた場合です。法的に切り捨てられてしまったので、債権との主張は絶対できません。だから債権を減らしなさいという基本通達です。
D:
あまりお目にかかれそうな状況ではないですね。
K:
会社更生法に絞れば、2010年以降日本航空含め10社程度のものです。つぶれてしまえば、大変な事態が起こるという判断がなければ、会社更生法の適用はないかもしれません。会社更生法のみではないので、件数はもっと増えますが、この基本通達を適用できるケースは、お目にかかりにくいと思います。
D:
2つ目の基本通達も気になり始めてきました。
K:
それでは、2つ目です。債務者の資産状況、支払能力等からみて全額が回収できないことが明らかになった場合に貸倒損失が認められるものです。
D:
今度はお目にかかれそうな気がします。
K:
確かに、一つ目よりは、お目にかかれそうな気がします。でも、なかなかお目にかかれないかもしれません。
あなたが、私にお金を10万円貸してくれました。私は生活が苦しくなり返せない状況が続いています。あなたは返ってこないならせめて貸倒損失を計上しようと思っていると仮定してください。
質問を3つさせてください。
1.私の資産状をどう調べ立証しますか?
2.支払能力をどう調べ立証しますか?
3.全額、あくまで全額回収できないことが明らかになったことをどう立証しますか?
D:
調べたり、立証したりとなると相当難しいですね。
K:
なかなかお目にかかれないと思います。
自己破産を裁判所に申立て完結している場合とか、かなり限定的になってくると思います。
また、自己破産を裁判所に申立て完結したときに貸倒損失を計上すべき時期になります。翌事業年度等では、貸倒損失は認められなくなります。利益操作に貸倒損失を使うこともできませんので注意してください。
D:
3つ目を教えてください。
K:
3つ目は、債権には時効あるので時効になった場合との調整と債権の取立費用の方が債権額より高額になる場合を規定しているものです。時効が成立してしまった場合、当然回収できなくなってしまいますが、時効になるような、ズボラな管理体制はしてはいけないということです。正常な適正な企業活動を行っていて時効を主張されることはないはずです。
D:
税務上、通常の業務の中で貸倒損失を認めてないという考え方が分かってきました。
K:
通常の業務の中でというより適切な言葉を加えていただきありがとうございます。
貸倒損失の計上時期をいつにするかは、現預金を伴わない費用なので客観性を示しづらいです。税務上は先ほどの基本通達に示されたようにある意味、明確な時期がわかるものに限定して債権の消滅を規定しています。
きっちり読まないとリスクにもなりかねないのですが、この基本通達を見て感じてもらいたいことは、貸倒損失をおこさない企業経営をするということです。これが、今回の2つ目のポイントです。
大手企業は貸倒損失をおこさない工夫をしっかりと講じています。
例えば、個人宛に商品を発送するならば、現金の授受がない限り発送はしないでしょう。代引で発送などはしないと思います。このような貸倒損失をおこさない処置をしっかり講じています。中小企業は、大手のようなブランドがない分、現金を先に授受するのが難しい部分もあるかもしれません。
でも、創意と工夫で貸倒損失がおこらない仕組みをしっかりやっていく必要があるのです。
飲食店で食事の提供をしている。
①食べた直後にレジでお金を請求する。
②1週間後郵送で請求書を送付する。
入金予定日に入金がなかった
①すぐに丁寧な文面で再請求書を送る。
②決算時にまとめて再請求書を送った。
極端な例かもしれませんが、②で業務を行っていたら債権未回収状況がどんどん発生します。請求書を発行するタイミングも工夫の一つなのです。
D:
貸倒損失は認められないのだから貸倒損失は作らないという考え方ですね。
K:
今回の2つのポイントを端的にまとめていただき、ありがとうございます。
税務上、貸倒損失として認められるケースは、限られているので、貸倒損失をおこさない企業経営をすることの大切さにつながってほしいです。税務の知識を経営に活用していく大切な考え方でもあると思います。本日はありがとうございました。

「欠損金の繰越控除制度と青色申告制度」 別冊 教えて税理士さんより

FMヨコハマの「教えて税理士さん」を2016年1月から3月の期間担当することになりました。
本日は、別冊「教えて税理士さん」にてお話させていただいた「欠損金と青色申告」について対話形式で進めていきたいと思います。
企業経営をしていくうえで存続の危機にもつながる「欠損金の繰越控除制度と青色申告制度」を創業・起業の段階で、しっかり認識してもらいたいために取り上げています。適正な帳簿組織を作り上げていくことは税務の要請にとどまらず企業維持にとっても大切なものだというように考えられるようになり健全経営を目指す起業家としてより社会貢献に寄与してもらいたいです。

Web版でも聞いてもらえれば何よりです。
http://www.tochizei.or.jp/voice/index06.html
2015.09.30 2-欠損金と青色申告

登場人物は2人ですすめていきます。

Director  以下 D:
Koike 以下 K:

D:
今回はどんなお話しですか?
K:
今回は、欠損金の繰越控除制度と青色申告について説明していきたいと思います。まず、欠損金の繰越控除制度について、お話していきます。
D:
欠損金…聞きなれない言葉ですが。
K:
例えば、売上が100万円。この売上作るための費用が150万円かかったとします。
売上から費用をひくと、50万円の赤字となります。この赤字のことを、税務上欠損金と呼びます。
D:
赤字のことを、税務上は欠損金というのですね。赤字が続くと、会社って、つぶれてしまうのではないでしょうか?
K:
そうです。すごく大切なことに気付いている質問です。
100万円の売上があり、150万円の費用がかかったとします。この状態で企業を維持するためには、50万円の追加資金が必要になります。不足分の50万円は、元手である資本金もしくは借入金で補わなければなりません。
つまり、50万円の資金がなかったら会社は維持できないことになるのです。
D:
赤字が何年も続くと、大変そうですね。ずっと、追加資金を調達し続けられなければ維持できないということですよね。
K:
赤字は、企業維持の上では、排除していかなければならない課題という認識を持たなければいけないと思います。
1期目に50万円の赤字になりました。それを補うために、50万円の借入をしました。1期目は、赤字なので、税金はかかりません。
2期目に50万円の利益が出ました。約40%が税金とすると20万円の税金がかかります。税金を払うと30万円残ることになります。
税金を払うと30万しかないため1期目に借りた50万円の借入金が20万円返せなくなってしまいます。
変な話だと思いませんか?
この会社は、1期目は50万円の赤字、2期目は50万円の利益。1期と2期を合わせると利益はゼロ何です。
1期と2期を合わせると利益はゼロということを成立させるためには、青色申告を行わないといけないのです。
D:
当たり前のことを行うために何か手続きをしないといけないことなのでしょうか?
K:
青色申告の申請を行い、帳簿をきちんとつけ、期限内申告を行うなら、青色申告の特典として、1期目に生じた赤字を2期目の利益と相殺してよい、いわゆる欠損金の繰越控除を行うことになります。
欠損金の繰越控除制度は、青色申告の特典といわれていますが、青色申告法人でない白色申告法人は借入金が返せないという事態になるのです。
企業の資金繰りを健全に行うためには青色申告を行わなければできないという認識を持ってほしいのです。
D:
欠損金の繰越控除という当たり前のことを行うためには青色申告をおこなっていなければならないということなのですね。
K:
帳簿書類をしっかりと記帳、保存していなければ、会社の状態もわからないし、資金管理も杜撰になれば会社の存続自体も危うくなると思います。
欠損金が生じたときに存続のために借りた借金をきちんと返してくためにも、欠損金の繰越控除制度がなければ成り立たないのです。
次に、この繰越ができる期間は、税務上は、永遠ではないのです。
D:
欠損金の繰越期間は、永遠ではないのですか。先ほどの借入金のお話を考慮すると永遠ではないと矛盾を感じるのですが。
K:
矛盾を感じないほうが、おかしいと思います。
以前は、5年間でしたが、7年、9年、平成29年には10年になります。
実際には、永遠という論議もないわけではなかったと思います。
青色申告を行う上で、帳簿書類の保存というものが義務づけられています。
繰越期間が5年間であれば、帳簿書類の保存期間も5年間で良かったのです。
これが、7年間になった場合に、7年間の保存期間となり、9年間であれば、9年間の保存期間、10年間だったら、10年間の保存期間となるわけです。
帳簿書類の保存の量は、大変なものです。10年になることも想定し、帳簿書類のデータ、スキャナ保存の申請も進んでいくものと思います。
永遠にするということができなかった理由だと思います。
D:
青色申告のための帳簿書類作成と保存、欠損金の繰越控除期間との関係も整理できてきました。
K:
次に、中小企業では関係ないですが、大手企業は、利益が出たときに今後は、利益の50%部分までしか欠損金の繰越が適用できなくなります。
D:
利益が出たときは、半分までしか欠損金の繰越控除ができなくなるということですね。10年たって切り捨てられてしまうことはないのでしょうか?
K:
大手企業というより上場企業は、極端な話ですが、何期も連続赤字だと上場廃止になる場合があります。しっかり利益を出し株主に還元していく体制、体質ができているので繰越期間を10年間にしておけば、切り捨てられる可能性は減ると思います。
D:
きっちり考えられて論理的に説明できるのですね。
K:
本当にそうだと思います。
最後に、先ほどお話しした青色申告の特典ということを補足します。
帳簿書類を適正に処理、保管をしているから欠損金の繰越控除が認められているのですが、
調査で帳簿書類が適正に処理、保管されていないとなれば、過年度にさかのぼって青色申告が取り消されることになります。
D:
特典の反対の言葉であるペナルティの予感がしてきました。
K:
その通りだと思います。
わかりにくいかもしれませんが
借金をして、それを返済するためにお金が外部に出ていきます。その出ていく分は費用にはなりませんが、過年度の欠損金の繰越控除ができるので費用と同等の効果があり税金を軽減できたものがなくなるということです。
乱暴な言い方ですが、過年度に借りた借入金部分を対象に税率がかけられ税金が発生することになります。
D:
会社存続の危機ですね。
K:
帳簿書類を適正に処理・保管することは、税務上の権利義務だけではなく、企業維持や経営の大切な要素であることにもつながるので、税務のためだけにと思わずやっていただきたいです。
D:
税務上の要請が健全な企業経営にリンクしているのですね。
K:
健全な企業が多くなれば、税収は増えることを狙っている部分もあると思います。
本日はありがとうございました。