第64回 法人税法 税理士試験 第2問 解答速報 繰延資産

第64回 法人税法 税理士試験 第2問 解説 繰延資産
減価償却超過額の空欄は無意味なものではない。

税法固有の繰延資産は、長期前払費用として処理することになります。
会計基準がなく、かつ、法人税法で定める処理に拠った結果が、経済実態をおおむね適正に表していると認められるため、3年で償却していくこととなる。繰延資産の償却額の損金算入に関する明細書を作成し、償却限度額を算出し、償却限度額を超えたものは損金の額に算入されないことになります。

今回の設問では、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準で処理が行われている前提です。当期に費用化した金額1,300,000円となるならば、
前期に費用化した金額は、650,000円となります(支出日から決算日までが6月のため)。
となれば支出額は、2,500,000円+650,000円の3,150,000円になります。
(科目が前払費用。支出額が3,150,000円となると本体 3,000,000円。消費税処理がきになりつつも、消費税について特に指示がないという前提で消費税は無視します。)

前期は
(3,150,000-2,500,000)-3,150,000×6/36=125,000円
この金額は繰延資産償却超過額ですが、この金額を期首の別表五(一)の数値として把握する必要があるのです。
そのヒントが減価償却超過額なのです。
【資料4】
作成途中と書いてあることを読み取っているか。
別表五(一)も作成途中なのです。
あってないということです。でもヒントをいれてくれているのです。ちなみに繰越損益金も利益準備金が重複した形で計上されています。
今期は
(2,500,000-1,200,000)-3,150,000×6/12=250,000円
の繰延資産償却超過額が算出されます。

別解として
支出額を
2,500,000×36/30で計算し3,000,000円とすることも考えれられます。
一見よさそうに見えますが、3,000,000円で前期は6月で500,000円を費用化し、今期は1,300,000円費用化したということになり公正妥当な会計処理による会計処理になっていないです。減価償却の資料を見ても会計処理に規則性が感じられます。ここを鑑みて別解は成り立たないでしょう。
毎月87,500円を3年間で費用化しているという会計処理を読み取る必要があります。
(作問者は、数値作りも上手です)。
支出額を3,150,000円とする場合と
支出額を3,000,000円とする場合
どちらも正解に見えるかもしれません。税理士の実務は論理的によりどちらが成り立つかを検証する機会が多々あります。
そこまで踏まえた設問なのです。

会計基準を無視し、また会計数値が無意味なもので減価償却超過額や繰延資産償却超過額の練習をしていたのでは解答にたどりつけないだけではなく繰延資産の存在にすら気づかないかもしれません。また、別表五(一)も無意味な減価償却超過額ではないのです。
参考までに、個人所得税の事業所得では、減価償却も繰延資産償却も同一用紙に記載します。

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